間違いだらけの「山猫日記」の参議院選挙分析

「山猫日記」が参議院選挙分析記事を上げているのだが、この記事にはあまりにも多くの間違いがある。
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憲法問題が投票行動を決める重要な判断基準である」という誤り

「山猫日記」は与党支持者の約半数が憲法改正に賛成しているのを見て、「政党支持を大きく分けるものは依然として安保・憲法である」とし、続けて「憲法と安保は表の争点化はしないが、投票行動を決めるにあたっては根っこのところで重要な判断基準となっている」とするのだが意味不明である。
憲法問題を重視して投票する有権者は、憲法問題を重視して支持政党を決める」という誰もが納得する当たり前の事実をひっくり返して、「支持政党によって憲法問題への態度が違うから、すべての有権者憲法問題を重視して投票する」と言い出すのは典型的な詭弁である。三浦瑠麗は逆・裏・対偶の関係が理解できていないか、あるいは理解していてわざと読者を騙そうとしているかのどちらかだと思わざるを得ない。

ANNが週末に行った世論調査で「参院選で重視する政策」について聞いたところ、有権者が最も注目しているのは前回の調査に引き続き「年金・社会保障制度」で55%と最も多く、次いで「経済政策」が48%。そして「外交・安全保障」の31%などとなっている。

「あなたが重視する政策」と連休中各党が訴えたこと

外交・安保・憲法は票にならないというのは常識だが、その常識を支離滅裂な論理でひっくり返そうとする「山猫日記」には驚かされる。

無関心層・無党派層を無視する誤り

mainichi.jp
多くの有権者憲法問題を重視していない、もしくは関心が無い。そもそも、日本で支持政党を調査したときに最も多く見られる集団は「無党派」である。「山猫日記」は国民の大多数を占める憲法問題に無関心な層、特に支持政党がない層を無視して立論しているため「日本の政党支持を分ける亀裂、社会の分断は安保・憲法にある」という意味不明な結論を導いてしまっている。

「れいわ新選組の存在が立憲民主党左傾化させる」という誤り

続けて「山猫日記」は、れいわ新選組が左派ポピュリズム的な立場を取ることで「その必然的な結果として、立憲民主党は従来よりも経済政策でさらに左に寄りたいという誘惑を覚える」と書くのだが、まったくもって意味不明である。
れいわ新選組が左派ポピュリズム票を奪うのであれば、立憲民主党にとって合理的なのは左傾化することではなく中道に寄せることである。自民党が右傾化し、左端には社民党やれいわが既に存在し、共産党が左端から中道に寄せてきている現状で立憲民主党にとって多数の支持を得るために最も合理的な立ち位置は中道左派である。
中道右派を目指す国民民主党の存在が立憲民主党左傾化させるというのなら理解できるが、既に飽和状態の左派政党が増えることで立憲民主党左傾化するというのは理解に苦しむ。

自民党の強みは支持者が入れる票ではなく無党派層が入れない票

「山猫日記」は記事の結びで自民党が与党であり続けることを三つの理由を上げて説明するのだが、その全てが間違っている。第一に有権者の大部分は憲法問題を重視していない。第二に、日本で最も多い集団は自民党支持者ではなく無党派層である。第三に、立憲民主党左傾化するのであればそれは左派政党の存在によるものではなく自民党や国民民主党などの右派政党との差別化をはかるためであり、それは特に自民党が右傾化・先鋭化している現状にあっては野党として健全なあり方である。
有権者が最も重視する年金・社会保障の問題について、自民党は老後2000万円報告書の存在をなかったことにし、年金財政検証の結果を隠して選挙を乗り切ろうとしている。無党派層が政治に関心を持たないことが、郵便局や創価学会などの集票組織を利用して小選挙区制を攻略し、40%程度の得票率で3分の2近い議席を手に入れるための必要条件だと自民党公明党は理解しているからである。
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