金融制度に不備があるのだとすればそれについて責任を負うのは麻生太郎のはず

極東ブログ」が引き続き年金問題についての記事を書いているが、前回*1と前々回*2と同様に、やはり全体に文章がおかしい。
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金融審議会を金融庁が乗っ取るという記述は意味不明

極東ブログ」は「今回炎上した金融庁報告書は、『金融審議会 市場ワーキング・グループ』を事実上、金融庁が恣意的に乗っ取った形ででてきたものだ」と言うのだが、まずこれがよくわからない。
金融庁設置法に従って金融庁に置かれた審議会である金融審議会を金融庁が乗っ取るというのはどういう意味なのだろうか?
金融審議会を経済産業省財務省が乗っ取っていたら驚くかもしれないが、金融庁の審議会を金融庁が乗っ取ったとだけ言われても何が言いたいのかよくわからない。

市場ワーキンググループの再開は副大臣政務官に報告されている

極東ブログ」は、問題となっている報告書を出した市場ワーキンググループが2018年9月21日に再開したのは、金融庁の官僚が大臣である麻生太郎をはじめとする与党政治家の意に反して行ったことだと言いたいのかもしれない。しかし、このことは再開直後の2018年10月17日に副大臣である田中良生政務官である長尾敬も出席している第40回金融審議会総会で報告されている。田中良生も長尾敬も自民党衆議院議員である。ちなみに、長尾敬はTwitter上での数々の暴言でも有名である。*3
副大臣政務官が直接説明を受けているのだから、官僚が政治家に無断で行ったという解釈は明らかに無理筋である。

〇岩原会長
 ただいまから、第40回金融審議会総会・第28回金融分科会合同会合を開催させていただきます。


 本日は、皆様お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の議事は公開の形で行わせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。


 本日は、田中内閣府副大臣及び長尾内閣府大臣政務官にお越しいただいております。


(中略)


〇岩原会長
 どうもありがとうございました。

 続きまして、先月審議を再開いたしました、市場ワーキング・グループの説明に移りたいと思います。再開に至った背景や再開後の審議状況について、小森市場課長からご説明をお願いいたします。

〇小森市場課長
 市場課長の小森でございます。市場ワーキング・グループに関しまして、資料3-1、3-2を用いながらご説明申し上げます。

第40回金融審議会総会・第28回金融分科会合同会合議事録:金融庁

また、仮に官僚が何をやっているのか大臣が把握していなかったのだとしても、それは麻生太郎が大臣としてまともに仕事をしていないということを意味するのだから不信任に値する。

金融庁報告書がリバースモーゲージの問題を「隠蔽」したという主張には根拠がない

極東ブログ」は金融庁リバースモーゲージを「隠蔽」したと特に根拠を上げずに主張するのだが、リバースモーゲージについてはワーキンググループにおいて現時点では課題があるという説明がされている。

保有住宅を流動化させるという意味では、リバースモーゲージはよいアイデアだが、住宅ローンよりも金利が高い・使い勝手が悪いなど、普及には何らかのサポートが必要。

金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第18回)事務局説明資料

ちなみに、報告書では住宅資産については次のような文言で触れられている。*4

その他の課題として、個々人において多様化が進んでいるとはいえ、高齢期の者を中心に持ち家比率は高く、住宅資産を有効に活用できる環境整備も重要と考えられる。例えば、リフォーム市場の活性化や、良質な既存住宅の資産価値の適正評価を促すなど既存住宅の流通を活性化させるための施策を、より一層推進することが望まれる。

また、仮に就労延長や支出の見直しを行ってもなお収支および資産が十分でないとなったとき、自宅等の不動産がある場合には、それを売却して金銭化するなどの住宅資産の活用や、住居費や生活費が相対的に安い地方への移住も選択肢に入ってこよう。

リバースモーゲージについて最優先で考えろという主張は一般市民の感覚からはかけ離れている

極東ブログ」は「金融庁の報告書は何を問題とすべきか、またマスコミは何を追求すべきか?リバースモーゲージがより広く活用されるようになるための議論である」と言うのだが、これもかなりおかしい話だ。
リバースモーゲージが活用できるかどうかというのは資産を蓄えたあとに心配する話であって、一般市民にとっては退職までに2000万円とか3000万円とかいう大きさの資産を蓄えられるかや、なぜ自民党政治家は報告書をなきものにしようと異常行動を続けているかの方がより関心が高い。
マスコミの関心がリバースモーゲージに向かないのは、一般市民の関心がそちらに向いていないからである。

「現状のリバースモーゲージ制度の不備」に対応するのは麻生太郎の責任である

極東ブログ」は「現状のリバースモーゲージ制度の不備」で高齢者が不利益を被れば、その責任は「年金騒ぎ」を繰り広げているマスコミにあると唐突にマスコミ批判を始めるのだが、これも奇妙な話だ。
金融制度に不備があるのだとすれば、それについて責任を負うのは金融庁であり、また大臣である麻生太郎のはずである。
極東ブログ」は金融庁を批判しながら大臣である麻生太郎は批判しないという方針で記事を書いているようなのだが、これはどう考えても無理のある話だ。

タイトルに「野党」と入っているが批判し忘れている

最後に一つ。「極東ブログ」の記事のタイトルは「今回炎上した金融庁報告書で、金融庁が隠し、マスコミや野党が追求しないこと」なのだが、文中では野党について一切の言及がない。
おそらく、金融庁とマスコミとついでに野党を批判しようと思い立ってタイトルから書き始めたのだが、金融庁とマスコミを批判したら満足してしまい野党批判の言葉を挿入し忘れてしまったのだろう。

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