「納税者」という立場にすがる哀れな人々

先日のエントリ*1には思ったよりも多くの反応があり、数々のコメントに楽しく目を通した。頷かされるものや新しい視点に気づかされるものもあれば、筆者の不徳のせいか文意が正しく伝わっているのか不明なものもあったが、おおむねありがたく読んだ。とは言…

アートを批判するために「俺様は納税者だぞ」と言い出すダサい人々

「あいちトリエンナーレ2019」の企画展として行われた「表現の不自由展・その後」は脅迫などもあり中止に追い込まれてしまったが、それまでにこの企画展へ向けられた批判の数の多さには驚かされた。 www.huffingtonpost.jp 批判の多くは「平和の少女像」や「…

間違いだらけの「山猫日記」の参議院選挙分析

「山猫日記」が参議院選挙分析記事を上げているのだが、この記事にはあまりにも多くの間違いがある。 lullymiura.hatenadiary.jp 「憲法問題が投票行動を決める重要な判断基準である」という誤り 「山猫日記」は与党支持者の約半数が憲法改正に賛成している…

参院選後に「安倍・トランプ蜜月」の犠牲になるのは農家と自動車産業か?

外務省が出している「外交」という雑誌があるのだが、その最新号に載っている日本経済新聞ワシントン支局長の菅野幹夫氏が書いた「『蜜月』だからこそ厄介な日米貿易交渉」という記事は政権の考え方を端的に表しているようで面白く読んだ。外交 VoL.55 特集:…

「死んでもいや」なのに6割の議案で共産党と同じ行動を取っている維新の会

headlines.yahoo.co.jp 日本維新の会の衆議院議員である足立康史は、安倍内閣不信任案に対する反対討論で「共産党と同じ行動を取るのが、死んでもいや」と述べたが、実際には今回の国会で日本維新の会は採決が行われた6割の議案で共産党と同じ行動を取ってい…

金融制度に不備があるのだとすればそれについて責任を負うのは麻生太郎のはず

「極東ブログ」が引き続き年金問題についての記事を書いているが、前回*1と前々回*2と同様に、やはり全体に文章がおかしい。 finalvent.cocolog-nifty.com 金融審議会を金融庁が乗っ取るという記述は意味不明 「極東ブログ」は「今回炎上した金融庁報告書は…

どう考えても麻生太郎は老後2000万報告書に責任がある

「極東ブログ」が新しく年金記事を投稿しているが、やはり前回*1と同様によく読むと色々とおかしい。 finalvent.cocolog-nifty.com 金融庁が出した文書について大臣である麻生太郎には責任がある 「極東ブログ」は金融庁が出した「『高齢社会における金融サ…

よく読むといろいろおかしい「極東ブログ」の年金記事

はてなブックマークのトップページに上がっている「極東ブログ」の年金問題に関する記事なのだが、色々とおかしな記述が目立つ。 finalvent.cocolog-nifty.com 2000万円貯められない庶民はもっと悲惨になるし、将来はもっと悪い状況になる 「極東ブログ」は…

「7歳でサンタを信じているのは"marginal"」をどう訳すか

ドナルド・トランプがサンタを信じている7歳の子供に心無い言葉をかけたことが話題になっている。BBCの英語記事によれば、元の発言は以下の通り。 "Because at seven, it's marginal, right?" Trump to boy: Do you believe in Santa? - BBC News ここで"it"…

「武装難民」というエセ専門用語は使うべきでない

麻生太郎が直近の失言の中で用いた「武装難民」という言葉は何かはっきりとした意味を持った専門用語のように見えるがそうではない。 www.asahi.com 「武装難民」という学術用語は存在しない 「武装難民」という言葉は学問の分野で定着した用語ではない。CiN…

産経の「『東北で良かった』…東京の皆さんの本音ではありませんか?」は本当に良記事か?

www.sankei.com 「『東北で良かった』…東京の皆さんの本音ではありませんか?」と題した産経記事がはてなブックマークで人気になっている。コメントを見ると、批判と賞賛が混在しており、中には「産経なのに良いことが書いてある」とか「良いことが書いてあ…

ふるさと納税で損をするのは誰か

ふるさと納税に関する記事が続いて目に入ったので少し調べてみようと思った。 ふるさと納税で「赤字4億円」…町田市長が批判 : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) ふるさと納税のお得のウラガワ ~地方税をめぐる仁義なき戦い~ - withnews(ウィズニュース…

大統領令を支持する国民に迎合する政治を恐れる

www.asahi.com 正規の方法で永住権を取得し、米国で働き米国に家を持ち米国の口座に貯金をしていたイラン人が、たまたま冠婚葬祭や旅行で国外にいただけで3ヶ月、場合によっては永久に自分の家に帰ることが出来なくなるという事態を想像すれば、まともな判断…

ちぐはぐな合作「シン・ゴジラ」(ネタバレ含)

「シン・ゴジラ」について、素晴らしいシーンはいくつかあるが全体的には歪な構成だという感想を持った。以下に詳しく記すがネタバレを嫌う未鑑賞の方は鑑賞後に読むことを薦める。

「キモくて金のないおっさん」を脅威として認識する「フェミニスト」

「キモくて金のないおっさん」についてのtogetterまとめ*1にはフェミニズムについて言及したツイートは数点しか含まれていないのだが、瞬く間にこの話題はフェミニズムとの関係で、しかも否定的に語られるようになった。*2*3 さらに興味深いことに、「金のな…

掃除機にお胸がありますか?

人工知能学会がその学会誌の表紙に使用したイラストについて問題点の指摘*1が相次いでいる。話題になっているのは人物が箒と本を持って洋間に佇んでいる様子が描かれたもので、服装や長い髪また胸の膨らみなどから人物は女性であり、さらに背中から電源ケー…

細谷雄一「外交」(有斐閣)、広瀬健夫「住んでみたカムチャツカ」(東洋書店)

細谷雄一「外交」(有斐閣) 外交 (有斐閣Insight)作者: 細谷雄一出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2007/12/27メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 37回この商品を含むブログ (9件) を見る 「外交」という曖昧な概念について、まず感情的な世論や任期の限ら…

V-22オスプレイの出自に関する少し興味深い話

The Dream Machine: The Untold History of the Notorious V-22 Osprey作者: Richard Whittle出版社/メーカー: Simon & Schuster発売日: 2010/04/27メディア: ハードカバー クリック: 2回この商品を含むブログを見る いま世間を騒がせている話題の軍用機、オ…

個人の価値についての雑な話

今から何十年か経った未来に、現在いるあまたの有名声優の中から何人かが政界へと進んでいるという光景を想像するのはそう難しい話ではない。タレント候補だ客寄せパンダだと馬鹿にしながら、我々は例えば古谷徹に、例えば田中真弓に、例えば若本規夫に投票…

「搾取される感じがするものはとにかくもう嫌なんですよ」には耳を傾ける価値がない

「搾取される感じがするものはとにかくもう嫌なんですよ」 - Togetter 公的な空間では許容されない言説がなにかの拍子に表出することに価値があるとするならばそれは標本としての価値に限られる。たとえ日本の大学生の多くが本音では生活保護者の死を願って…

「リア充」という言葉はかれらのものになった

駅前にリアルキュゥべえが二匹登場「リア充爆発しろー」って叫んでる #akiba... on Twitpic もはや「リア充」という言葉は完全にわれわれのものではなくなってしまった。なぜキュウべぇなのか、なぜ秋葉原なのか、そのメッセージは誰に向けられたものなのか…

「ザ・インタビューズ」に欲望を刺激された人々が生み出すおぞましい光景

ザ・インタビューズ - 聞かれるなら答えます ブログやマイクロブログ、SNSといったサービスはいずれも他人に関心を示されたい、自分が他人に関心を持たれていることを確認したいという人間の欲望を刺激することで人々の認知を獲得していったが、これらのサー…

<皆がありがたがっているものをありがたがること>について(「やはり俺の青春ラブコメは間違っている。」を読んで)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)作者: 渡航,ぽんかん(8)出版社/メーカー: 小学館発売日: 2011/03/18メディア: 文庫購入: 42人 クリック: 2,791回この商品を含むブログ (140件) を見る 物語を読んでいるときに、悪役が説教をされる場…

「魔法少女まどか☆マギカ」第9話までのまどかを惨めにさせているのは第10話のまどか

「まどかマギカ」第10話において明らかにされたほむらの行動を支える原理、その真意とは時を遡る前の時点でのまどかの願いを叶えること、遡った先の時点でのまどかによるキュウべぇとの契約を阻止することであった。また、まどかが魔女になることでキュウべ…

「面白い」とか「つまらない」とかいった価値判断の基準すら失ってしまうための思考法

上記エントリが言いたいことは要するに「考えることを放棄しろ」ということだろう。「必要以上に」とか「極度の」とかいった言い訳めいた修辞がつけられてはいるのだが、どの程度が必要であり適度である水準であるのかは一切示されていないのだから事実上こ…

「真面目に努力すれば報われる」という信仰は有害である

大学でアルファベットを教えて何が悪い - bluelines 生徒の学力に合わせた授業を行うのが最も生徒のためになると訴える上記のエントリへのコメントとして、大きく分けて2種類の反論があげられているように見える。1つは落ちこぼれた生徒に対するセーフティネ…

「魔法少女まどか☆マギカ」キュウべぇ批判の合唱に加わる人々の悪趣味さ

「まどかマギカ」に登場するキャラクターの中で、嫌悪の表明の対象として最も気軽に選ばれがちなのがキュウべぇであることはおそらく間違いない。ネットを見渡せば彼の作中での振る舞いに対する素朴な怒りの表明を多く見つけることができるし、「QB」という…

「魔法少女まどか☆マギカ」巴マミはバイクの無謀運転で死んだ非行少女

「マミさん、本当に優しい人だったんだ。戦うために、どういう覚悟がいるのか。私たちに思い知らせるために、あの人は…」 魔法少女まどか★マギカ第4話 「奇跡も、魔法も、あるんだよ」 上に掲げたのは「まどかマギカ」第4話において巴マミの死を振り返りなが…

「魔法少女まどか☆マギカ」の学校の設定がよくわからない

388 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2011/01/30(日) 00:56:41 id:ys2RzKcC0 おいひとりパソコンないぞ 『まどか☆マギカ』虚淵だけじゃなくて監督とか演出家とかもっと褒められるべきじゃね?|やらおん! 「まどかマギカ」第4話の…

まどかマギカが語る「今とは違う自分」になることとはどのようなことか

「鹿目まどか、あなたは自分の人生が貴いと思う?家族や友達を大切にしてる?」 「そう、もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね。さもなければすべてを失うことになる。」 「あなたは、鹿目まどかのままでいればいい。…